名前の読み方と、成り立ち
PostgreSQLは「ポストグレス・キューエル」と読みます。長いので、現場では「ポスグレ」や「Postgres(ポストグレス)」と略して呼ばれることがほとんどです。
はじまりは1980年代半ば、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校で作られた研究用のデータベース「POSTGRES」です。1990年代半ばに問い合わせの言語としてSQL(第5章で学びます)を正式に採用し、名前も「PostgreSQL」になりました。つまり40年近い歴史を持つ、とても成熟したソフトウェアです。
現在は特定の会社ではなく、世界中の開発者が参加する「PostgreSQL Global Development Group」という共同体が開発を続けています。毎年秋ごろに新しい大きな版(メジャーバージョン)が公開され、番号が1つずつ増えていきます。
なぜ無料で使えるのか
PostgreSQLはオープンソース・ソフトウェアです。オープンソースとは、プログラムの設計図(ソースコード)が公開されていて、誰でも無料で使い、改良し、配り直してよいという約束のもとで作られているソフトウェアのことです。
「無料だと品質が心配」と感じるかもしれませんが、PostgreSQLの場合は逆です。公開されているからこそ世界中の専門家が中身を検証し、問題があればすぐ直されます。銀行や官公庁、大手のインターネットサービスでも使われており、信頼性の高さはむしろ有料製品と並ぶ評価を受けています。
PostgreSQLというソフトウェア自体にライセンス料はかかりません。ただし、それを動かすコンピューター(自社のサーバーやクラウド)の費用や、運用する人の手間はかかります。クラウド事業者が「PostgreSQLを運用込みで貸し出すサービス」を有料で提供しているのはこのためです(第7章で触れます)。
他のデータベースとの位置づけ
リレーショナルデータベースを動かすソフトウェアは、PostgreSQL以外にもいくつか有名なものがあります。名前だけでも知っておくと、ニュースや社内の会話がぐっと分かりやすくなります。
| 名前 | 費用 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| PostgreSQL | 無料(オープンソース) | 標準に忠実で機能が豊富。「何でもできる優等生」。近年とくに人気が高い |
| MySQL / MariaDB | 無料(オープンソース) | Webサイトの裏側で長く使われてきた定番。手軽さで広まった |
| Oracle Database | 有料 | 大企業の基幹システムで長年使われる、高価で高機能な製品 |
| SQL Server | 有料(無料版あり) | マイクロソフト製。Windows中心の企業システムで多い |
| SQLite | 無料 | スマホアプリなどに組み込む小さなデータベース。サーバーを持たない |
PostgreSQLが選ばれる4つの理由
1. ルール(標準)に忠実
SQLという言語には国際的な標準規格があります。PostgreSQLは標準への準拠度が高いことで知られ、ここで覚えた知識が他のデータベースでもそのまま通用しやすいという利点があります。
2. データを壊さないことを最優先に作られている
速さよりも「正しさ」を優先する設計思想で知られています。経理や決済のように、1円の誤りも許されないデータを扱う分野で信頼されている理由です(第6章で仕組みを学びます)。
3. 拡張できる
地図情報を扱う「PostGIS」、全文検索、JSONという形式のデータの保存など、追加部品(拡張機能)を入れることで、本来の表計算的なデータ以外にも幅広く対応できます。
4. クラウドで借りやすい
Amazon、Google、Microsoftの主要なクラウドはいずれもPostgreSQLを「運用込み」で提供しています。自分でサーバーを管理しなくても使い始められることが、普及を後押ししました。
この章のまとめ
- PostgreSQLは40年近い歴史を持つオープンソースのリレーショナルデータベース。特定の会社ではなく世界中の開発者が育てている。
- ソフトウェア自体は無料。ただし動かすコンピューターと運用の手間は別にかかる。
- 無料のまま小規模から大規模まで使え、標準への忠実さとデータを壊さない堅実さで選ばれている。
確認クイズ
Q1PostgreSQLが無料で使える理由はどれですか。
Q2PostgreSQLを会社で使うとき、お金や手間がかかるのはどの部分ですか。
Q3次のうち、有料のデータベース製品はどれですか。